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犬に「いくら」は危険?与えてはいけない理由と、誤食してしまった場合の対処法

犬に「いくら」は危険?与えてはいけない理由と、誤食してしまった場合の対処法

鮮やかなオレンジ色とプチッと弾ける食感で大人気の「いくら(イクラ)」は、寿司や海鮮丼などでもお馴染みのごちそうですよね。
「うちの犬にもひと粒だけなら…」「食卓から落ちたのをパクッと食べちゃった」なんて経験がある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、いくらは犬の体にさまざまなリスクがある要注意食材です。
塩分やプリン体、消化やアレルギー、誤食した時の正しい対応まで、獣医師監修で徹底解説!
愛犬の健康と安全のために、絶対に知っておきたい「いくら」の危険性を楽しく・分かりやすくまとめました。

目次

犬にいくらを与えることは「おすすめできない」:塩分とプリン体のリスク

いくらは犬にとって積極的に与えるべきではない食材です。
その理由は、私たちが普段口にするいくらには塩分やプリン体が多く含まれ、犬の腎臓や健康に大きな負担をかけるから。
ここでは、なぜいくらが犬の体にリスクをもたらすのか、まずはその本質をしっかり理解しておきましょう。

いくらは「食べるもの」だが、犬の腎臓に大きな負担となる高塩分

いくらは保存や味付けのために、塩や醤油をたっぷり使って加工されています。
人間にとっても「しょっぱい」と感じるいくらは、犬にとっては塩分過多の極み!
実際、ドッグフードにはすでに必要な塩分がバランスよく含まれており、さらに塩分を上乗せする必要は全くありません。
塩分を摂りすぎると腎臓への負担、心臓への影響、むくみ、場合によっては塩中毒などの健康被害が起きることも。
犬は人と違って高血圧にはなりにくいですが、体が小さいぶんダメージは大きくなりがち。
味付きのいくらは、ほんのひと粒でも「犬には塩分が多すぎる」のです。

プリン体の過剰摂取による尿路結石・痛風のリスク

いくらは魚卵類の中でもプリン体が多く含まれています。
プリン体は犬の体内で分解されると尿酸になり、これが結晶化して尿路結石や痛風を引き起こす原因となることも。
特に、腎臓や尿路に持病のある犬、シニア犬、尿石症の既往がある犬には大きなリスクです。
プリン体は体内で代謝しきれずに溜まりやすい体質の子も多いため、魚卵(いくら・たらこ・数の子など)全般が注意食材に分類されます。

いくらの栄養素は犬にとって必要なのか?(ビタミンD、アスタキサンチンなど)

いくらにはビタミンA・ビタミンD・アスタキサンチン・オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)など健康効果の高い栄養素も含まれています。
これらは免疫力UP・抗酸化・血液サラサラ・皮膚や被毛の健康などのメリットがあるものの、「少量の摂取」+「他の魚やおやつでも十分代用できる」成分でもあります。
ビタミンDやアスタキサンチンを摂るなら、もっと安全な魚(サーモンなど)や犬用サプリでカバー可能。
健康のために「わざわざいくらを食べさせる必要はない」と覚えておきましょう。

犬がいくらを少量「食べる」ことの危険性:アレルギーと消化不良

「いくらは少量なら大丈夫」と聞くこともありますが、犬にとってはさまざまなリスクが伴う食材です。
とくにアレルギーや消化不良、年齢による体への影響は油断できません。
ここでは、いくらが引き起こす可能性のあるアレルギー症状や、消化の問題、特に注意すべき年齢別リスクを詳しく解説します。

魚卵特有のアレルギー反応と初期症状

いくらは鮭やマスの魚卵ですが、魚卵特有のアレルゲンが含まれています。
特に「鮭アレルギー」のある犬は、いくらにも強いアレルギー反応を起こすことがあり、皮膚のかゆみ・赤み・湿疹・下痢・嘔吐・元気消失などが現れる場合があります。
最初は「ちょっと元気がない」「体をかく」「うんちがゆるい」など小さなサインから始まり、重症化すると呼吸困難やアナフィラキシーショックのリスクも。
アレルギー体質の犬や、過去に魚卵や魚で体調を崩したことがある子には絶対に与えないでください。

イクラの皮(膜)は犬にとって消化しにくい

いくらの外側を覆う薄い膜(皮)は、犬の消化酵素では分解しにくく、消化不良を起こしやすい特徴があります。
いくらを食べた後に未消化のまま便にそのまま出てくる、下痢や軟便、腹痛などを訴えることも多く、とくに小型犬や消化器が弱い子は注意が必要です。
万が一のどに詰まったり、大量に食べてしまうと消化管閉塞などの重篤な事故にもつながります。

特に子犬やシニア犬への影響

子犬やシニア犬は消化吸収能力や内臓機能が未熟・低下しているため、いくらのような塩分・脂質・プリン体の多い食材は体への負担が大きくなります。
ほんの少しでも下痢・嘔吐・元気消失・脱水などの症状が出やすく、回復も遅れがち。
また、もともと腎臓や肝臓に病気を持つ子や、投薬治療中の犬はほんのひと粒でも大きなダメージにつながる可能性があるので、絶対に与えないようにしましょう。

犬が寿司や丼ものからいくらを誤食した場合の対処法

「気がついたら、テーブルのいくらをパクッと…!」
そんなハプニングは飼い主あるある。
でも、犬がいくらを誤食してしまった時は、冷静に迅速に対応することが大切です。
ここでは、誤食した場合の観察ポイントや、すぐに獣医師へ相談すべきタイミング、動物病院での処置の流れについて詳しく解説します。

誤食した量と愛犬の体調をチェック

まずはどのくらいの量を食べたのかを確認しましょう。
1~2粒程度ならすぐに症状が出る可能性は高くありませんが、小型犬やシニア犬、持病のある子では少量でも注意が必要です。
「何時頃、どのくらい、どんな状態のいくらを食べたか」をできるだけ詳細にメモしておき、その後24時間はしっかり様子を観察しましょう。

多量摂取や体調の変化が見られたらすぐに獣医師へ相談

もし一度にたくさん食べてしまった場合や、嘔吐・下痢・ふらつき・元気消失・発疹・かゆみ・呼吸が荒いなどの症状が現れた場合は、迷わずすぐに動物病院に連絡しましょう。
魚卵アレルギー体質の犬や、腎臓や尿路系に持病のある犬、体力の落ちている子は特に早めの受診が必要です。
「食べた量・時間・犬の体重・持病の有無」などを獣医師に伝えると、診察や処置がスムーズに進みます。

病院での具体的な検査・処置(点滴、催吐処置など)

動物病院では、誤食後の時間や症状の有無によって処置内容が異なります。
食後すぐであれば催吐処置(吐かせる処置)が選択されることも。
下痢や嘔吐が出ていれば点滴による脱水防止や、胃腸保護の治療を行い、アレルギー反応が強ければ抗ヒスタミン剤やステロイドの投与も検討されます。
場合によっては血液検査やエコー検査で内臓のダメージもチェック。
「家で無理に吐かせる」のは危険なので、必ず動物病院で適切な処置を受けましょう。

いくら(魚卵)以外の「魚介類」を犬に与える際の注意点

いくら以外にも、魚介類を愛犬に与える際にはさまざまな注意点があります。
魚介類は良質なたんぱく質やオメガ3脂肪酸、アスタキサンチンなど栄養豊富ですが、魚卵系・加工品・味付け・生食には特にリスクが多いことを知っておきましょう。
安全に魚を楽しむためのポイントをしっかりチェックしてください。

いくらの親である「鮭(サーモン)」を与える際の安全性と注意点

いくらの母体となる鮭(サーモン)は、犬にとってもおすすめできる魚のひとつです。
サーモンにはDHAやEPA、アスタキサンチン、コラーゲンなどいくらと同じような健康成分が多く含まれています。
ただし、味付け・骨・生食はNGです。
必ず塩・調味料不使用のものをしっかり加熱して骨を抜いてから与えてください。
アレルギーや体質の問題がなければ、サーモンジャーキーや無塩の犬用鮭おやつは安心して活用できます。
一方で、鮭アレルギーのある犬はイクラと同じくサーモンにも注意しましょう。

他の魚卵(数の子、たらこなど)の塩分・中毒リスク

数の子・たらこ・明太子・ししゃも卵・とびこなども、犬には塩分が多く、プリン体も豊富なのでNGです。
これらの魚卵系食品は、人間用としては美味しくても、犬にとっては腎臓や尿路へのダメージ、中毒症状、アレルギーリスクを高めるだけ。
また、加工品は着色料や保存料などの添加物も多いため、絶対に与えないようにしてください。

犬の食卓から「いくら」の誤食を防ぐための具体的な対策

好奇心旺盛なワンちゃんは、家族の食事や調理中のちょっとした隙に、いくらをパクッと食べてしまうことがあります。
そんな誤食を防ぐためには、「家庭内ルール」や「保存・管理の工夫」がとても大切です。
家族全員が協力して、愛犬の安全を守りましょう。

家族での食事中や調理中の注意点

いくらは小さくて転がりやすいので、食卓やキッチン台での管理がとても重要です。
食事中は犬がテーブルに近づけないようにし、落としたらすぐに拾う・拭き取るを徹底しましょう。
家族みんなで「犬にいくらは絶対NG」を共通認識とし、お寿司や丼ものを食べる日は犬をケージや別室で過ごさせるのも一案です。
小さなお子さんやお年寄りにも、誤って与えないように声かけをしておきましょう。

市販のイクラ製品や、人間用の加工品(例:カネハツや紀文などの製品)の保管方法

スーパーや通販で購入できるいくら(カネハツ、紀文などの市販品)や魚卵系加工品は、犬の手が届かない冷蔵庫や扉付き収納で保管しましょう。
パックのままテーブルやキッチンに置きっぱなしにせず、必ず開封・盛り付けの後は即片付けを心がけてください。
お正月やパーティー、家族の集まりなどでいくらを使う場合は、普段より一層「管理・後片付け」を徹底しましょう。

まとめ:愛犬の健康のため「いくら」は与えない選択を

ここまで、いくら(イクラ)を犬に与えることのリスクや、誤食時の対処法、魚卵や魚介類の与え方の注意点まで、徹底的に解説してきました。
いくらは塩分やプリン体が多く、アレルギーや消化不良、腎臓や尿路系への負担など、犬の健康にとってリスクの大きい食材です。
誤って食べてしまった場合でも慌てず、体調変化があればすぐに動物病院へ相談を。
「栄養のため」「一粒だけなら」ではなく、犬にいくらを与える必要はありません
もし魚由来の栄養素をプラスしたい場合は、鮭や無添加のおやつ・サプリで代用しましょう。
毎日の食卓や保管方法にも工夫を凝らし、愛犬が安心して暮らせる環境をみんなで作っていきましょう!

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