しらすはご飯のお供としても人気ですが、「犬にしらすをあげても大丈夫?」と心配される飼い主さんも多いですよね。
カルシウムやオメガ3脂肪酸など体に良さそうなイメージのしらすですが、塩分やミネラルの与えすぎは愛犬の健康トラブルにもつながりかねません。
本記事では、犬にしらすを安全に与えるためのコツ・塩抜き方法・適量・手作りふりかけレシピまで、たっぷり解説します!
結論:塩抜きをした釜揚げしらすなら少量OK!
まず最初にお伝えしたいのは、しらすはしっかりと下処理(塩抜き)を行えば、少量であれば犬が食べても問題ありません。
特に「釜揚げしらす」は柔らかくて塩分も比較的少ないため、犬に与える際はこのタイプを選びましょう。
市販されているしらすには「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」などいくつか種類がありますが、犬に与えるなら、塩分が低く、ふんわりとした「釜揚げしらす」が最も安心です。
ただし、どの種類でも塩分は必ず含まれていますので、そのまま与えるのはNGです。
熱湯でさっと湯通しして塩抜きをしてから、1日1回ほんの少量だけ与えるのがポイント。
塩抜きをせず与えると、犬の腎臓や心臓に負担をかけてしまう恐れがあるため、絶対に塩抜きを省略しないでください。
また、腎臓病や心臓病、尿路結石の持病がある犬、妊娠中や授乳中の犬には、しらすを控えましょう。
しらすは栄養価が高いですが、あくまで「おやつ」や「フードのトッピング」程度にとどめて、主食にはしないのが安心です。
犬がしらすを食べるメリット|カルシウムやDHA・EPAが豊富
ここでは、しらすが犬の体にもたらす良い影響やメリットについてご紹介します。
しらすのパワーをうまく取り入れることで、愛犬の健康をしっかりサポートできますよ。
カルシウムで骨や歯の健康をサポート
しらすの大きな特徴は、丸ごと食べられるため、骨ごとカルシウムをしっかり摂取できることです。
犬の骨や歯を丈夫に保つためにカルシウムは欠かせませんが、手作り食中心の家庭や成長期の子犬・シニア犬は、ドッグフードだけでは不足しがちな場合もあります。
しらすには、釜揚げしらすで100gあたり190mg、しらす干しでは520mgものカルシウムが含まれています。
この豊富なカルシウムが、健康的な骨の成長や維持にとても役立つため、成長期の子犬・骨が弱くなりがちなシニア犬にもおすすめです。
また、カルシウムには筋肉や神経の働きをスムーズにする役割もありますので、毎日の体のコンディションを整えるのにぴったりの食材といえるでしょう。
ただし、リンも同時に多く含まれているので、腎臓疾患がある犬には避けるなど、体調にあわせて調整が必要です。
DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)で皮膚や被毛を健やかに
しらすは青魚の稚魚。
そのため、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が豊富です。
オメガ3脂肪酸は犬の体内で作り出すことができない「必須脂肪酸」と呼ばれており、皮膚や被毛を美しく保ち、炎症やかゆみを和らげる働きもあります。
また、オメガ3脂肪酸は脳の健康維持や、血液をサラサラに保つ作用もあるため、愛犬の活力やシニア犬の認知症予防にも期待されています。
普段のフードにちょっとだけしらすをプラスするだけで、こうした良質な脂肪酸が手軽に補えるのも魅力です。
さらに、EPA・DHAはアレルギー体質の犬の皮膚トラブルを和らげる可能性があるともいわれていますので、被毛のツヤや健康を意識する飼い主さんには特におすすめです。
嗜好性が高く、食欲増進に
しらすのもうひとつの魅力は、香りがよくて嗜好性がとても高いこと。
食欲が落ちている時や、フードを食べ残すことが増えた時にも、少量のしらすをトッピングしてあげるだけで、食いつきがぐっと良くなる犬も多いです。
また、しらすはパラパラと細かく散らしやすく、フードに均等に混ぜられるので、いつものご飯に飽きてしまった犬への「ごほうびトッピング」としても最適です。
単なるカロリーアップではなく、栄養補給や食事の楽しさアップのサポート役として活用することで、愛犬の食生活を豊かにできます。
おやつ代わりや手作りごはんのアクセントにもピッタリなので、愛犬とのコミュニケーションを深めるきっかけにもなるはずです。
【最重要】犬にしらすを与える際の注意点
しらすは栄養満点でメリットも多い一方で、与え方を間違えると健康トラブルにつながるリスクも持ち合わせています。
ここからは、しらすを安全に愛犬へ与えるために絶対に知っておきたい注意点について、じっくり解説します。
大切なワンちゃんの体を守るためにも、しっかりチェックしておきましょう!
塩分の過剰摂取(腎臓・心臓への負担)
しらすには意外と多くの塩分が含まれています。
たとえば、釜揚げしらす100gあたり約2.1g、しらす干しなら6.6gもの食塩相当量が含まれているのです。
これは私たち人間にとっては「やや塩味がある」程度かもしれませんが、犬にとってはかなり塩分が強いことになります。
犬は人間ほど塩分を体外に排出する力が強くありません。そのため、しらすをそのまま与えると腎臓や心臓に大きな負担をかけてしまう危険性があるのです。
特に腎臓疾患や心臓疾患を持つワンちゃん、シニア犬、子犬は塩分過剰に敏感なので要注意。
塩抜きの手間は絶対に省略せず、与えすぎも厳禁です。
健康な犬であっても「たまのお楽しみ」としてほんの少量だけにとどめ、毎日あげたり一度にたくさん与えるのは避けてください。
リン・カルシウムによる尿路結石のリスク
しらすにはカルシウムだけでなく、リンやマグネシウムなどのミネラル分も多く含まれています。
これらは適度であれば健康維持に役立ちますが、体質や持病によっては過剰摂取が尿路結石(ストルバイト結石・シュウ酸カルシウム結石)の原因になってしまうことがあります。
特にトイプードルやミニチュアシュナウザーなど、尿石症のリスクが高い犬種は要注意です。
また、尿石症の既往歴がある犬や療法食を食べている場合は、しらすのトッピングは基本的に避けるほうが安心です。
普段の健康診断で尿の結晶や結石を指摘されたことがあるワンちゃんは、獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
魚アレルギーの可能性
しらすは「イワシ類の稚魚」を指しますが、漁獲によってはイカナゴ・ウナギ・アユ・ニシンなど他の稚魚が混じることも珍しくありません。
そのため、ごくまれに魚介類アレルギーを持つ犬が反応を起こすことがあります。
初めてしらすを与える時は、必ずほんの少量から様子を見て、食後数時間~翌日にかけて
・体をかゆがる
・顔や体の一部が赤くなる
・下痢や嘔吐、軟便になる
といった症状がないか観察しましょう。
もしもこうした症状が現れた場合はすぐに中止し、動物病院で相談を。
アレルギー体質の犬や、食物アレルギー検査で魚類に陽性反応が出ている場合は、しらすは避けるようにしてください。
犬へのしらすの安全な与え方|2つの必須ステップ
しらすを犬に安心して与えるためには、正しい種類の選び方と下ごしらえ(塩抜き)が何より大切です。
「ごはんにのせるだけ」ではなく、愛犬の体を守るためのちょっとした工夫を必ず取り入れましょう。
ここでは、実際の与え方のコツや、おうちでできる下処理について詳しくご紹介します。
①犬には柔らかい「釜揚げしらす」を選ぶ
市販のしらすには、「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」など、いくつかの種類があります。
このうち最も塩分が少なく、やわらかい「釜揚げしらす」が、犬にとって最も安心な選択肢です。
釜揚げしらすは、生のしらすをさっと茹でて水分を多く残した状態で仕上げてあるため、柔らかく消化に優しいだけでなく、骨も口当たりが良くて安全です。
「しらす干し」は釜揚げしらすをさらに乾燥させているため、旨味が凝縮されていますが、塩分が増して硬さもアップ。
「ちりめんじゃこ」になると、さらに塩分が強く、水分がほぼ抜けてとても硬い状態になります。
そのため、犬用としては「釜揚げしらす一択」で選ぶのがベストです。
スーパーや鮮魚コーナーで買う時は、成分表示を見てなるべく「食塩無添加」や「減塩タイプ」などを選び、購入後はできるだけ早めに使い切りましょう。
②必ず「塩抜き」をする
しらすを犬にあげる時に絶対に欠かせないのが「塩抜き」の作業です。
塩抜きのやり方はとてもシンプル。
ザルにしらすを広げ、熱湯を全体に回しかけて、サッと湯通しするだけ!
そのあとキッチンペーパーで水気をしっかりと取り除き、十分に冷ましてから使いましょう。
熱湯を使うことで、余分な塩分がしらすの表面から溶け出し、犬にとって安全な状態に近づけることができます。
これだけのひと手間で、腎臓・心臓の健康リスクをグッと減らすことができます。
しらす干しの場合も同じように塩抜きすればOKですが、硬さが気になる場合は、お湯につけて少しふやかしても良いでしょう。
なお、茹でこぼしたお湯は塩分を含むため、絶対に愛犬に与えないようにしてください。
「釜揚げしらすを買ってきたら、まずは塩抜き」という習慣をぜひ身につけてくださいね。
他にも押さえておきたいポイント
しらすはあくまで「トッピング」や「おやつ」として与えるのが基本です。
手作りごはんやドッグフードの上にパラパラと少量散らすだけで、食欲増進や栄養バランスアップの効果が期待できます。
また、しらすをせんべいにしたり、チーズと混ぜて焼き菓子にしたりと、工夫次第で手作りおやつも作れますが、加工の際も塩抜きを忘れずに!
食物アレルギーや腎臓・尿路疾患のリスクがある犬種の場合は、与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談するのがおすすめです。
また、初めて与えるときは必ずごく少量からスタートして、体調の変化がないか様子を見てください。
健康状態や年齢、普段の食生活を考慮しながら、愛犬にぴったりの量や頻度を見極めることが大切です。
【量に注意】犬に与えても良いしらすの適量は?
どんなに栄養が豊富なしらすでも、与える量を守らなければ健康を損なう恐れがあります。
ここでは、犬種や体重別の安全な「しらすの適量」について、具体的な目安をたっぷり解説します。
1日あたりの目安量(塩抜き後)
犬にしらすを与える場合、主食であるドッグフードのトッピングとして取り入れるのが理想的です。
基本的な目安としては、小型犬(~10kg)なら小さじ1杯、中型犬(~25kg)は大さじ1杯、大型犬(25kg~)は大さじ2杯程度が1日の上限量です。
この量を超えて与えすぎてしまうと、カロリーや塩分、ミネラルの摂りすぎにつながるので要注意。
参考までに、しらす(釜揚げ)は100gで約90kcal。
おやつや間食のカロリーは「1日に必要なカロリーの20%以内」に収めるのがベストです。
具体的な例を以下の表にまとめました。
犬の体重 | 1日のエネルギー要求量 | 間食(最大カロリー量) | しらす(釜揚げ)の目安重量 |
---|---|---|---|
小型犬(5kg) | 374kcal | 74.8kcal | 約83g |
中型犬(15kg) | 854kcal | 170.8kcal | 約190g |
大型犬(30kg) | 1436kcal | 287.2kcal | 約319g |
上記はあくまで「最大量」の目安ですので、実際にはこの半分以下のごく少量を、週に数回までにしておくとより安心です。
また、しらすは低カロリー(100gあたり約90kcal)ですが、ミネラルは豊富なので「多ければ多いほど良い」わけではありません。
「特別な日のおやつ」として取り入れる
しらすは毎日与えるのではなく、時々ごほうびとして活用するのが理想的です。
例えば「食欲がない日」「お誕生日」「健康診断を頑張った日」など、特別なご褒美や食事のアクセントとして少しだけトッピングしてあげましょう。
しらすは香りも良く、嗜好性が高いため、いつものフードが一気にごちそうに早変わり!
ただし、食物アレルギーや腎臓・尿路結石の既往歴がある場合は、与える頻度と量を必ず主治医と相談してください。
子犬・老犬の場合の量は?
成長期の子犬や高齢犬にも、塩抜きした釜揚げしらすなら基本的にOKですが、消化器官が未熟だったり、体が小さいため、与える量は通常の半分以下に抑えるのが安心です。
体調の変化が出やすい時期なので、初めて与える際はごくごく少量からスタートし、下痢や嘔吐、食欲不振がないかよく観察してください。
不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
【簡単レシピ】いつものフードにかけるだけ!しらすの手作りふりかけ
しらすは塩抜きをすることで、手軽におやつやトッピングとして活用できます。
「もっと美味しく」「食いつきをアップしたい」という時におすすめなのが、しらすの手作りふりかけです。
ここでは、お家でもすぐできる、カリッと香ばしいしらすふりかけの作り方をご紹介します!
材料
・釜揚げしらす(塩抜き済み・適量:体重に合わせて)
(例:小型犬なら小さじ1杯、中型犬は大さじ1杯、大型犬は大さじ2杯程度)
作り方
1. まずは釜揚げしらすを熱湯でさっと塩抜きし、ざるに上げて水気をしっかり切ります。
2. キッチンペーパーで軽く押さえて、さらに水分を取ってください。
3. テフロン加工のフライパンを用意し、油を引かずに弱火でしらすを炒ります。
4. 水分が飛んでパラパラになり、香ばしい香りがしてきたら火を止めましょう。
5. しっかり冷ましてから、いつものドッグフードや手作りごはんにトッピングして完成です。
ポイントは、焦がさないようにじっくり弱火で炒ること。
手作りふりかけは保存料などを使っていないので、2~3日で使い切れる量だけ作るのが安心です。
アレンジでおやつやご褒美にも!
シンプルなふりかけ以外にも、しらすと小麦粉・チーズを混ぜておせんべいにしたり、野菜と合わせて手作りおやつにしたりと、アレンジも自由自在。
ただし、塩分やカロリーの摂りすぎを防ぐため、しらす以外の材料も犬用に調整しましょう。
トッピングやおやつとしてだけでなく、食欲が落ちた時や、薬を飲ませたい時の「ごまかしフード」としても活躍します。
愛犬の好みに合わせて、オリジナルのご褒美ごはんにアレンジしてみてください。
犬のしらすに関するQ&A
ここでは、実際に多くの飼い主さんから寄せられる「犬×しらす」の疑問について徹底解説します。
犬種別の注意点や、子犬・シニア犬への与え方、生しらすの可否など、気になるポイントを網羅的にチェックしていきましょう。
【特に注意】トイプードルにしらすを与える際のポイントは?
トイプードルは遺伝的に尿路結石(ストラバイト結石やシュウ酸カルシウム結石)ができやすい犬種として知られています。
しらすにはカルシウムやリン、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれているため、過剰摂取は結石のリスクを高めてしまうことがあります。
特に、結石症の既往歴があるトイプードルや、結石予防の療法食を食べている子は、基本的にしらすトッピングは控えるのが安全です。
それ以外の場合でも、頻度は「月に1~2回、ごく少量」のみにとどめてください。
体質や健康状態によっては、他の犬種よりも厳密に量や頻度をコントロールする必要があります。
「どうしてもしらすを食べさせたいけど心配…」という場合は、事前に必ずかかりつけ獣医師に相談しましょう。
子犬や老犬に与えても大丈夫?
子犬や老犬にもしらすを与えることはできますが、消化機能が弱いため、より慎重に量を調整することが大切です。
特に子犬はまだ消化器官が発達途上にあるため、最初は耳かき1杯~小さじ1/4程度から様子を見てください。
老犬も腎臓機能や体力が低下していることが多いので、通常の半量以下でスタートしましょう。
いずれの場合も塩抜きは徹底し、与えた後は24時間ほど下痢や嘔吐、食欲不振がないかよく観察してください。
異変が出た場合は、すぐに動物病院へ。体調や持病によっては、獣医師の指示に従うことが大切です。
生のしらすは与えてもいい?
「新鮮な生しらす」を愛犬にも…と思う方もいるかもしれませんが、基本的に生しらすは与えないのが安全です。
生しらすには寄生虫や細菌感染のリスクがありますし、鮮度管理も難しいため、必ず加熱調理(釜揚げしらす)したものを塩抜きしてから与えましょう。
どうしても生しらすを使いたい場合でも、さっと熱湯で火を通して塩抜きしたものを与えるようにしてください。
また、「生しらすなら塩分が少ないのでは?」と思いがちですが、生でも塩分や雑菌リスクはゼロではありません。
愛犬の健康のためにも、加熱・塩抜きは必ずセットで行うことを徹底しましょう。
まとめ
今回は「犬にしらすを与えても大丈夫?」という飼い主さんの素朴な疑問にお応えして、しらすの安全な与え方・メリット・注意点・おすすめレシピ・Q&Aまで、たっぷりと解説してきました。
しらすはカルシウムやDHA・EPA、良質なたんぱく質など犬の健康に嬉しい栄養がたくさん。
香りも良く、食いつきアップやご褒美トッピングにぴったりな食材です。
しかし、そのままでは塩分が多いため、必ず「塩抜き」をしてからごく少量だけ与えるのが絶対条件。
特に腎臓や心臓、尿路結石の持病がある犬や、トイプードルなど結石ができやすい犬種、子犬やシニア犬には量・頻度・体調への配慮がより重要です。
また、初めて与える場合や、体調が心配な時は必ず獣医師と相談してからトッピングしましょう。
・しらすを選ぶなら「釜揚げしらす」
・熱湯でしっかり塩抜きをして使う
・ごく少量を「たまのご褒美」としてトッピング
この3つを守れば、愛犬の食事にしらすの恵みを安全にプラスできます。
香ばしい手作りふりかけで食いつきもアップ!
愛犬と一緒に、楽しくおいしく、健康的なごはんタイムを楽しんでくださいね。